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「辞めないと学校に通えない」と思っていた人へ — 在職のまま失業給付と同じ額が出る、教育訓練休暇給付金

・ 約6分で読めます ・ 文責: まなびシフト編集部

「本気で資格を取るなら、いったん辞めるしかないのかな」

半年の研修課程。平日昼間の授業。 シフトでは、どう組んでも通えない。 辞めれば通える。でも収入が止まる。失業給付は「働く気がある人」のための制度だから、学校に通っている間はもらえない——そう思って、諦めていませんか。

2025年10月から、その前提が少し変わりました。 会社に籍を置いたまま、長めの無給休暇を取って学ぶ間、雇用保険から失業給付と同じ額が出る制度ができています。 名前は「教育訓練休暇給付金」。まだあまり知られていないので、先に全体像を整理しておきます。

目次
  1. 一言でいうと「辞めないで使える失業給付」
  2. 対象になる人
  3. 対象になる休暇
  4. 対象になる学び
  5. いくら、何日もらえるか
  6. 手続きの流れ
  7. いちばん大事な落とし穴
  8. 教育訓練給付金との違いを一表に
  9. まとめ

一言でいうと「辞めないで使える失業給付」

教育訓練休暇給付金の仕組み。在職のまま30日以上の無給休暇を取り、その間に失業給付と同じ額が支給される。日数は加入年数で90日・120日・150日

厚生労働省の説明はこうです。

労働者が離職することなく、教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、その訓練・休暇期間中の生活費を保障するため、失業給付(基本手当)に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する制度

ポイントは3つです。

以前からある「教育訓練給付金」(受講料の2〜8割が戻る制度)とは別物です。あちらは受講料の補助、こちらは休んでいる間の生活費の補助。両方の条件を満たせば、性質が違うので併用を前提に考えられます(後述)。

対象になる人

パンフレットに書かれた条件を、そのまま並べます。

条件中身
雇用保険の「一般被保険者」65歳以上の高年齢被保険者、短期雇用特例、日雇は対象外
直近2年で12か月以上休暇開始前2年間に、11日以上働いた月が12か月以上ある
加入5年以上休暇開始前に、雇用保険に通算5年以上入っている

3つ目が意外と効きます。転職していても、離職期間が1年以内なら前後の期間を通算できます。ただしその離職期間に失業給付を受けていたら通算できません。 過去に失業給付や育児休業給付を受けたことがある人は、加入期間の数え方が変わる場合があるので、ハローワークで事前に確認できます(休暇を始める前に確認可、とパンフレットに明記されています)。

対象になる休暇

ここがこの制度のいちばんの関門です。

つまり、会社に「教育訓練のための休暇制度」がないと使えません。 いくら本人が条件を満たしていても、制度の入口は会社側にあります。 厚生労働省は事業主向けに導入事例集も出しているので、職場に制度がなければ「こういう制度ができたので、就業規則に入れてもらえませんか」と持ちかけるところから始まります。パンフレットには、教育訓練以外の目的も含む休暇制度(たとえば自己啓発休暇のようなもの)でも、教育訓練のための休暇であれば該当する、とあります。

もうひとつ。休暇の中で有給休暇を取った日や、収入のある仕事をした日は支給されません。無給で休んでいる日だけが対象です。

対象になる学び

看護・介護・保育の人に関係が深いのは上の2つです。 認定看護師の教育課程、介護福祉士実務者研修のスクーリング、保育士養成校の科目等履修——通っている先が専修学校・各種学校か、教育訓練給付の指定講座を持つ法人かで判断されます。 「この学校・この講座は該当しますか」は、申し込む前にハローワークに聞けます。

いくら、何日もらえるか

日額は失業給付と同じ計算です。休暇開始日の前日を離職日とみなして、前6か月の賃金から出します。年齢でも変わります。 パンフレットに載っているイメージはこうです(額面月収→給付月額、30日換算)。

額面月収給付月額のイメージ
25万円約17万円
35万円約19万5千円
45万円約22万5千円

月収が上がるほど割合は下がります。失業給付と同じで日額に上限があるためです。上限・下限は毎年8月に改定されるので、具体額はハローワークで確認してください。

日数は雇用保険の加入期間で決まります。

加入期間給付日数
5年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

受け取れる期間は休暇開始日から1年間です。1年を超えて休んでも、残りの日数があっても支給されません(妊娠・出産・疾病などで延長できる場合あり)。 逆に、1年以内なら休暇を分割して取っても対象です。「前期3か月・後期2か月」のような通い方もできます。

手続きの流れ

事業主と本人の両方が動きます。

  1. 本人と会社が、休暇の期間・訓練の目標・内容について合意する
  2. 本人が「教育訓練休暇取得確認票」を会社に出す
  3. 休暇開始後、会社が賃金月額証明書などをハローワークに提出する(休暇開始日の翌日から10日以内)
  4. 会社から支給申請書などが本人に渡されるので、本人が住所地のハローワークに提出して受給資格が決まる(休暇開始日から30日以内)
  5. 以降、休暇開始から30日ごとに認定申告書をハローワークに出し、審査のうえ支給される

失業給付の「認定日」に通うのとよく似た形です。

いちばん大事な落とし穴

この給付金を受けると、休暇開始前の雇用保険の加入期間がリセットされます。

失業給付の受給資格は「離職前2年で12か月以上」のように加入期間で決まりますが、教育訓練休暇給付金を受けた人は、休暇開始より前の期間を通算できなくなります。 つまり、休暇明けに間もなく退職しても、しばらくは失業給付がもらえません。 「学び直してから転職するつもり」の人は、ここを知ったうえで順番を考える必要があります。パンフレットでも、事業主向け・労働者向けの両方の注意事項として強調されている点です。

リセットされないものもあります。パンフレットによれば、

ので、「休暇中の生活費はこの制度、受講料は教育訓練給付金」という組み合わせ自体は制度上ふさがれていません。

教育訓練給付金との違いを一表に

教育訓練給付金教育訓練休暇給付金
何を補うか受講料休んでいる間の生活費
辞める必要なし(在職でも離職後でも)なし(在職が前提)
会社の制度不要就業規則等の休暇制度が必要
加入期間初回は1年以上(専門実践は2年以上)、2回目以降は3年以上5年以上(+直近2年で12か月)
受け取り方修了後などにまとめて30日ごとに認定
失業給付への影響なし加入期間がリセット

受講料の制度については「その受講料、2割〜8割戻るかもしれません」で区分ごとに整理しています。

まとめ

「辞めるか、諦めるか」の二択だと思っていたなら、三つ目の選択肢ができています。 まず、職場の就業規則に「教育訓練休暇」があるかどうか。そこから確かめてみませんか。

数字と条件の出典は厚生労働省「教育訓練休暇給付金」のページと、同ページに掲載のパンフレットです。制度は改正されることがあるので、申請前に最新の情報とハローワークの案内を確認してください。