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「学校に通う2年間、誰が生活費を払うのか」 — ひとり親が看護師・保育士を目指すとき、月10万円が出る制度

・ 約4分で読めます ・ 文責: まなびシフト編集部

「看護師になりたい。でも学校は3年。その間、誰がうちの生活費を払うの」

子どもを寝かしつけたあと、養成校のパンフレットを開いては、学費のページの前で閉じる。夜勤のある職場に戻るために資格を取りたいのに、資格を取る期間だけ収入がゼロになる。これはやる気の問題ではなく、算数の問題です。

その算数を変えるための制度が、ひとり親向けに用意されています。名前は長いのですが、中身は単純です。学校に通っている間、毎月お金が出る。

目次
  1. 一言でいうと「修業中の生活費」
  2. 誰が対象か — 3つの条件
  3. 対象になる資格
  4. 受講料の側は「自立支援教育訓練給付金」が受け持つ
  5. 申請の順番 — 「入学してから」では遅い
  6. まとめ

一言でいうと「修業中の生活費」

高等職業訓練促進給付金。こども家庭庁の資料の言い方を借りると、資格取得に必要な養成訓練の受講期間について給付金を支給し、生活の負担の軽減を図り、資格取得を容易にするための制度です。

項目内容
月額10万円(住民税課税世帯は7万500円)
加算修業の最終年限の1年間は4万円加算
期間修業する期間、上限4年(准看護師から看護師の養成機関に続けて進学する場合は5年)
修了時修了支援給付金として5万円(課税世帯は2万5,000円)
実施主体都道府県・市(特別区を含む)・福祉事務所設置町村

年額の上限は168万円、4年で最大528万円という数字も資料に載っています。「学費が出る」制度ではなく、学費とは別に、暮らしの側に入るお金だという点を先に押さえてください。

誰が対象か — 3つの条件

資料には、修業を開始した日以降に次のすべてに当てはまる母子家庭の母または父子家庭の父、とあります。

  1. 児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準にあること。こども家庭庁のページの例では、お子さんが1人の場合、1年間の収入が385万円未満。所得制限を超えた場合も、1年に限り引き続き対象
  2. 養成機関で6か月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
  3. 就業または育児と修業との両立が困難と認められること

3つ目は「働きながら通えるでしょう」と言われないための条件です。夜勤明けに勉強してはいけない理由を別の記事で書きましたが、養成校の実習と子育てを抱えて仕事まで続けるのが現実的でないことは、制度の側が前提にしています。

対象になる資格

こども家庭庁のページが挙げる例はこうです。

看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師、製菓衛生師等の国家資格や、シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格等のデジタル分野等の民間資格

実績も出ています。令和6年度に資格を取った人は3,041人で、看護師982人、准看護師480人、保育士227人、美容師175人。つまりこのサイトで扱ってきた看護・保育の道が、そのまま中心です。介護福祉士までの一本道のうち、実務者研修だけでは6か月に届かないことがあるので、介護は養成校ルートで使うことになります。潜在保育士の復職の記事で書いた「まず戻る」とは別に、これから資格を取りに行く人向けの制度です。

ただし、対象資格は「就職の際に有利となる資格で、養成機関で6か月以上修業するもの」を地域の実情に応じて定めるとされています。上の例に載っていても、住んでいる自治体で対象かどうかは窓口で確認が要ります。

受講料の側は「自立支援教育訓練給付金」が受け持つ

似た名前でもう1つ、自立支援教育訓練給付金があります。こちらは受講料の側です。

高等職業訓練促進給付金自立支援教育訓練給付金
何に出るか修業中の生活費講座の受講料
月10万円(課税世帯7万500円)受講料の6割。上限20万円、専門実践教育訓練の対象講座は修業年数×40万円(最大160万円)
上乗せ最終年に月4万円加算、修了時5万円修了後1年以内に資格を取って就職等すると25%追加(最大85%・最大240万円)
使う前に事前相談受講前に講座の指定を受ける必要あり

雇用保険の教育訓練給付金を受けられる人は、その額を差し引いた分が自立支援教育訓練給付金になります。両方の制度が重なって二重に出るのではなく、足りない分を埋める形です。支給額が1万2,000円以下なら支給されない、という下限もあります。

入学前後のまとまった出費には、貸付もあります。高等職業訓練促進資金として入学準備金50万円・就職準備金20万円の貸付が別事業にあり、保育士の貸付制度と同じく「借りる」形です。返還免除の条件は自治体の要綱で確認してください。

申請の順番 — 「入学してから」では遅い

この制度で一番多い失敗は、入学してから窓口に行くことでしょう。自立支援教育訓練給付金は受講前に講座の指定を受ける必要がありますし、高等職業訓練促進給付金も実施主体は市区町村や都道府県で、実施率は97.5%(令和6年度、909自治体中886)と全国に近いものの、運用は自治体ごとです。

  1. 養成校の願書を出す前に、市区町村のひとり親担当窓口(福祉事務所)に事前相談する
  2. 自分の所得が児童扶養手当の水準にあるか、志望する資格がその自治体の対象かを確認する
  3. 受講料側(自立支援教育訓練給付金)を使うなら、講座の指定を受ける
  4. 入学後、修業を開始してから給付金の申請。修了時に修了支援給付金

順番さえ守れば、「3年間の収入ゼロ」という前提が「月10万円+受講料の6割」に置き換わります。学校に行けるかどうかの算数は、そこから計算し直してください。

まとめ

制度の金額と年度は変わることがあります。ここに書いた数字は2026年9月時点のこども家庭庁の資料によるもので、申請時には自治体の案内で確認してください。